数学の中でよく出てくる「無限(∞)」ですが、「1 ÷ ∞ = 0」という表現を見て疑問に思ったことはありませんか?
今回は、この式の意味や「=」なのか「≒」なのかといった点について、わかりやすく解説します。
目次
1 ÷ ∞ はなぜ 0 になる?
そもそも「∞(無限大)」は数ではない
まず押さえておきたいのは、「∞(無限大)」は通常の「数」ではないということです。あくまで「限りなく大きいこと」を表す概念であって、四則演算の対象になる“具体的な数値”ではありません。
したがって、厳密に言えば「1 ÷ ∞」という計算自体は定義されていないのです。
それでも「1 ÷ ∞ = 0」とされる理由
とはいえ、数学や物理の文脈では「1を限りなく大きな数で割ったらどうなるか?」という極限の考え方(極限値)で考えることが多くあります。
たとえば次のように考えてみましょう:
- 1 ÷ 10 = 0.1
- 1 ÷ 100 = 0.01
- 1 ÷ 1,000 = 0.001
- …
割る数がどんどん大きくなっていくと、答えはどんどん小さくなり、限りなく 0 に近づいていきます。つまり、
「1 ÷ x」 は「x → ∞」のときに「0 に近づく(→ 0)」
このような考え方に基づいて、数学では次のように書きます:
lim(x → ∞)1 / x = 0
この式は「x を限りなく大きくしていったとき、1 ÷ x の値は 0 に近づいていく」という意味です。
「=」なの?「≒」なの?
結論としては次のように使い分けます:
- 厳密な数学的意味で「1 ÷ ∞」をそのまま扱うのはNG(定義されていない)
- 極限の意味で「1 ÷ ∞ ≒ 0」と表現するのはOK
- 文脈や便宜的に「1 ÷ ∞ = 0」と表記することもある(実際の値ではなく、極限値を指す)
つまり、数学的には「1 ÷ ∞ = 0」は厳密な等式ではなく、あくまで極限として「限りなく0に近づく」という意味で理解する必要があります。
まとめ
- 「∞」は数ではなく概念(計算は基本できない)
- 「1 ÷ ∞ = 0」は正確には「lim(x→∞)1/x = 0」
- 「≒ 0」と理解するのがより正確な表現
授業などで見かける「1 ÷ ∞ = 0」は、便宜上の近似表現だと理解しておくとよいでしょう。