日本語には「かく」と読む同音異義語がいくつかあります。
その中でも混乱しやすいのが「描く」「画く」「書く」です。
さらに「描く」「画く」は「えがく」とも読みます。
ここでは、それぞれの意味・用法・使い分けを、具体例を交えて解説します。
「描く」とは
意味: 絵や情景、抽象的なイメージなどを視覚的・感覚的に表現すること。
主な使い方:
- 絵を描く(具体的な絵を表現)
- 夢を描く(未来の理想像)
- 物語を描く(物語の展開・人物描写)
- 心の中に情景を描く(想像上のイメージ)
特徴: 抽象的なことにも使える、芸術的・感覚的表現が多い。
「描く」は、「かく」とも読み、事物の形や状態・様子などを、絵や文章、あるいは音楽や映像などのさまざまな方法によって表現することを意味します。
この言葉は描写することを指し、外部的な表現だけでなく、心の中で何かを想像したり構想したりすることも含みます。
「画く」とは
意味: 線や図、設計図などを引くこと。ビジュアル的な設計や構図を示す。
主な使い方:
- 地図を画く
- 構図を画く
- 線を画く
特徴: 古風な表現で、現代ではあまり一般的ではない。「描く」で代用されるケースが多い。建築・製図など一部の専門分野で使われることがある。
「画く」は、線を使って絵や図を描くことを意味します。
この場合、「描く」とも置き換えることができることがあり、線の使用を強調したいときに使われます。
「書く」とは
意味: 文字や文章を紙や媒体に記すこと。言語情報を表現する。
主な使い方:
- 手紙を書く
- 日記を書く
- 看板に文字を書く
- 文章を書く
特徴: 言語情報の伝達が目的。抽象的なイメージよりも、具体的な意味や内容を文字で伝える行為。
使用例の違い
「描く」の使用例
- 風景(人物)を描く
- ボールが放物線を描く
- 江戸の情緒を描いた小説
- 等身大の気持ちを描いた曲
- 戦争の悲惨さを描いた映画
- まぶたに描くふるさと
- 青写真(あおじゃしん)を描く
- 自由な未来を心に描く
- 家族との思い出を描いたエッセイ
- 街のにぎわいを描くスケッチ
- 子供たちの夢を描いた絵本
- 彼の人生を描いた伝記
「画く」の使用例
- グラフを画く(描く)
- 円を画く(描く)
- 漫画を画く(描く)
- 幾何学模様を画く
- 路線図を画く
- 建物の設計図を画く
- フローチャートを画く
- 図形を正確に画く
「書く」の使用例
- 日記を書く
- 手紙を書く
- メールを書く
- 小説を書く
- レポートを書く
- ブログ記事を書く
- 住所を書く
- 履歴書を書く
- 契約書を書く
- メモを書く
- コメントを書く
- チャットでメッセージを書く
- コードを書く(プログラミング)
- 台本を書く
- 脚本を書く
- 作詞を書く
- 設定資料を書く
使い分けのポイント
漢字 | 意味 | 使う場面 | 抽象表現 |
---|---|---|---|
描く | 絵・情景・感情の表現 | 絵画、物語、夢など | ◯ |
画く | 線・図・構造を引く | 設計、構図、地図など | △(あまり使われない) |
書く | 文字・情報を記す | 文章、手紙、メモなど | × |
まとめ
- 「描く」:絵やイメージを表現。芸術・感覚的な場面で使用。
- 「画く」:図形や構図。やや専門的・古風な表現。
- 「書く」:文字・文章を記録。情報伝達の基本行為。
日常的には「描く」と「書く」を使い分ければ十分ですが、文章のニュアンスを正確に表現したいときは、この違いを意識するとより豊かな表現が可能になります。
また、「描く」と「画く」は、どちらも「えがく」と読む異字同訓の語ですが、その意味と使い方には違いがあります。
「描く」は、絵や文章、心の中での想像など広い意味で使われるのに対し、「画く」は線で表現することに焦点を当てた表現です。
状況に応じて適切に使い分けることで、より正確な表現が可能になります。