アバダ ケダブラとは？
「アバダ ケダブラ（Avada Kedavra）」は、J.K.ローリングの小説『ハリー・ポッター』シリーズに登場する呪文のひとつです。
この呪文は、作中でも特に危険で恐れられている「許されざる呪文（Unforgivable Curses）」の一つとして知られています。
発動すると、相手を即死させる強力な呪いであり、防ぐ方法はほとんど存在しません。
物語のなかではヴォルデモート卿や死喰い人たちが多用し、シリーズ全体に深い影響を与えるキーワードでもあります。
語源と意味の由来
アラビア語やアラム語に由来する説
「Avada Kedavra」は、実はJ.K.ローリングがインタビューなどで明かしているように、古い呪文の言葉に由来しているとされています。
特に有力なのが、アラム語（古代中東で使われた言語）の「abhadda kedhabhra」で、「この言葉を破壊せよ」や「このものを滅ぼせ」といった意味です。
これは後に中世ヨーロッパで魔除けとして使われる「アブラカダブラ（Abracadabra）」という呪文に変化していったと考えられています。
アブラカダブラとの関係
「アブラカダブラ」は、今日ではマジックショーでよく使われる決まり文句ですが、本来は病気や不運を遠ざけるための護符や呪文でした。
ローリングはこの言葉を「逆の意味」で用い、命を奪う最強の呪いとして「アバダ ケダブラ」を創作したとされています。
つまり、元々は癒しや魔除けの言葉だったものが、物語の中で恐怖と死を象徴する呪文として再構築されたわけです。
ハリー・ポッターの物語における役割
ヴォルデモートとアバダ ケダブラ
この呪文を象徴的に使う人物といえば、やはりシリーズの最大の敵・ヴォルデモート卿です。
彼は幼少期のハリーを殺そうとした際にもこの呪文を使い、それが逆に自分に跳ね返ったことが物語のすべての始まりとなりました。
また、数々の戦いの中で彼はためらうことなくこの呪文を放ち、多くの命を奪っています。
防ぐことがほぼ不可能な呪い
アバダ ケダブラは、防御魔法でも完全に防ぐことが難しい呪文とされています。
シールド呪文（プロテゴ）では防ぎきれず、唯一の対抗手段は物理的な障害物や、例外的な魔法的干渉によるものです。
そのため、発動された時点でほぼ死が確定するという恐ろしさを持ちます。
呪文の特徴と発動条件
アバダ ケダブラを使うには、非常に強い殺意と高い魔力が必要とされています。
ただ言葉を唱えるだけでは発動せず、使用者の意思が伴って初めて効果を持つ呪文です。
緑色の閃光とともに発動し、相手は苦しむことなく即死するという描写がなされています。
また、魔法省によってこの呪文を使うことは厳しく禁じられており、使用した者はアズカバン刑務所送りになるのが通常です。
それだけ強力で、悪用が絶えない危険な呪文といえます。
まとめ：アバダ ケダブラは“死”を象徴する呪文
アバダ ケダブラは、単なるファンタジー作品の呪文以上の意味を持っています。
元々は癒しの言葉だったアブラカダブラが、物語の中で最強の殺人呪文に転じたことは、言葉の力と象徴性を巧みに活かしたローリングの創作の妙といえるでしょう。
物語の随所で登場するこの呪文は、ハリーとヴォルデモートの宿命的な対決を象徴するキーワードであり、シリーズ全体の緊張感を支える重要な要素となっています。
