ビザ・ESTA・各種海外申請フォームには、出生地に関する項目がほぼ必ず登場します。ところが、place of birth や city of birth と並んでいると「どこまで書けばいいの?」と迷いがち。この記事では、両者の違いと正しい書き方、日付(Date of Birth)の表記ルール、日本のパスポートにある「本籍」との違い、ESTA申請時の注意点までを、具体例つきでわかりやすく解説します。
まずは用語の違いを整理:「City of Birth」と「Place of Birth」
City of Birth:生まれた市区町村だけを書く
City of Birth は「出生市(市区町村)」の指定です。基本はシンプルに市区町村名のみ、ローマ字または英語表記で記入します。
- 横浜市生まれ → Yokohama
- 札幌市生まれ → Sapporo
- 福岡市生まれ → Fukuoka
都道府県や国名は通常不要。欄の指示に「City/Town」の記述があれば、市区町村だけでOKです。
Place of Birth:都市に加えて国名(場合により都道府県)
Place of Birth は「出生地(広い意味)」の指定です。多くのフォームでは「都市名+国名」が望まれます。必要に応じて都道府県を加える形式もあります。
- 横浜市・日本 → Yokohama, Japan
- 指示がある場合 → Yokohama, Kanagawa, Japan
フォームの例示・注記に「State/Province を含める」と書かれていれば、都道府県も追加しましょう。
Date of Birth(生年月日)の表記は国・機関で異なる
生年月日(Date of Birth)は、国や機関により書式が変わります。必ずフォーム中の例示に従ってください。
- 米国式(MM/DD/YYYY):1985年7月4日 → 07/04/1985
- ISO/国際標準(YYYY-MM-DD):1985年7月4日 → 1985-07-04
- 欧州式(DD/MM/YYYY):1985年7月4日 → 04/07/1985
米国式と欧州式は月日が逆になるため、入力ミスが起きやすいポイント。提出前に「書式」と「数字の順序」を二重チェックしましょう。
日本のパスポートに「出生地」は載らない?よく混同する「本籍」との違い
本籍(戸籍の所在地)と出生地(実際に生まれた場所)は別物
日本のパスポートには「本籍」の情報が載ることがありますが、これは戸籍の所在地であり、実際の出生地ではありません。
本籍は転籍で変更可能で、居住地や出生地と一致しないのが普通です。一方、出生地は「生まれた病院がある市区町村」等の実際の場所を指します。
海外申請で求められるのは基本「出生地」
ビザやESTAなど海外向け申請で問われるのはbirthplace(出生地)。本籍をそのまま記入しないよう注意しましょう。
出生地が曖昧な場合は、母子健康手帳、戸籍の附票・出生届の控え、家族への確認などで正確な市区町村を確認するのが確実です。
ESTA(米国渡航認証)の日本語申請と注意点
日本語表示で申請できる
ESTAの公式サイトは日本語に切り替えて申請できます。入力項目や説明も日本語で表示されるため、英語が苦手でも進めやすい設計です。言語設定メニューから「日本語」を選択しましょう。
偽サイトに注意:必ず公式サイトから
ESTAを装う代行・偽サイトが多数存在します。公式手数料に上乗せされた高額な費用を請求されたり、個人情報のリスクも。
検索経由ではなく、信頼できる導線から公式サイトにアクセスして申請しましょう。最新の手数料や要件は公式情報で必ず確認してください。
申請のタイミングと入力のコツ
- 提出は早めに:推奨は出発72時間前まで。余裕をもって手続きしましょう。
- パスポート現物を見ながら入力:氏名の綴り、パスポート番号、生年月日、出生地は特にミスが多い項目。打ち込み後に必ず見直しを。
- 有効期限の概念:ESTAは承認から最長2年間有効(ただしパスポートが先に切れる場合はそちらに準拠)。パスポート更新後は新しい番号で再申請が必要です。
- 訂正ができない項目に注意:申請後に誤りが判明しても修正不可なケースがあり、再申請(再度手数料)が必要になることも。最初に丁寧に。
実例でチェック:こんなときどう書く?
東京都港区の病院で出生、現在の本籍は大阪府
- City of Birth:Minato(港区は英語で Minato City と表記されることも。欄の書き方に合わせて「Minato」や「Minato City」で統一)
- Place of Birth:Minato, Japan(指示があれば Minato, Tokyo, Japan)
- 本籍(参考情報):大阪府 → 申請の出生地欄には書かない
横浜市出生、書式に都道府県も求められる
- City of Birth:Yokohama
- Place of Birth:Yokohama, Kanagawa, Japan
欧州の書式で日付入力を求められた
- 1985年7月4日生まれ → 欧州式(DD/MM/YYYY):04/07/1985
- 米国式(MM/DD/YYYY)だと 07/04/1985。逆にしないよう注意。
英語表記・入力の小ワザ(ミス防止)
- 都市名の綴りを公式表記で統一:Yokohama / Sapporo / Fukuoka / Kyoto など、ガイドブックや自治体の英語表記を参考に。
- 長音・小文字表記に悩まない:Hokkaidō は一般的に Hokkaido。大文字・小文字は固有名詞の頭大文字で十分。
- ハイフン・スペース:Date of Birth の書式(YYYY-MM-DD / MM/DD/YYYY など)は指示に厳密に従う。
- 省略はNG:Yoko. のような独自省略は不可。フルスペルで。
よくある質問&疑問
Q. 出生地の病院名まで必要?
通常は不要です。市区町村(City)と国(必要に応じて都道府県)で十分。病院名の記入欄がある場合のみ記載します。
Q. 生まれた場所がわからない…どうすれば?
母子健康手帳、出生届の控え、戸籍関係の書類、家族への確認で特定を。曖昧な推測は避け、正確性を優先しましょう。
Q. 市町村合併で名称が変わっている場合は?
一般に現在の国際的な通用表記で問題ありません。フォームの注記に「当時の地名」を求める指示があれば、それに従ってください。
Q. ローマ字はヘボン式と訓令式のどちら?
地名は固有名詞の既存英語表記(自治体の公式英語表記)に合わせるのが無難。人名はパスポートの表記に合わせます。
まとめ:指示に忠実・情報は正確・提出前に二重チェック
- City of Birth は市区町村のみを英語表記。
- Place of Birth は都市+国(必要なら都道府県も)。
- Date of Birth は書式(米国式/欧州式/ISO)を必ず確認。
- 本籍と出生地は別物。海外申請では出生地を記入。
- ESTA は日本語申請可。公式サイトから、余裕を持って、ミスなく。
このポイントを押さえておけば、出生地まわりの入力で迷うことはほぼなくなります。落ち着いてフォームの指示を読み、パスポート現物を見ながら丁寧に記入しましょう。申請は「正確さ」と「早めの準備」が何よりの近道です。