目次
サンチマンタリスムとは?分かりやすく解説
サンチマンタリスムの意味
サンチマンタリスム(sentimentalisme)はフランス語で、感傷主義や感情に流されやすい考え方を意味します。
語源を分解すると:
- sentiment(サンチマン):感情・感覚・感傷
- -alisme(アリスム):~主義、傾向、思想
つまり、「サンチマンタリスム」は感情や同情に流されすぎる態度・考え方を表します。
日本語での意味とニュアンス
- 感傷的な態度や主義
- 同情しすぎる気持ち
- 理性より感情に動かされる姿勢
サンチマンタリスムの特徴
- 感情に任せた判断をしやすい
- 「かわいそう」という気持ちが優先される
- 社会的・道徳的問題に感情で反応してしまう
例文
- 困っている人を見て涙を流すのは、彼のサンチマンタリスムの表れだった。
- 冷静に対処すべき場面で、サンチマンタリスムに陥るのは危険だ。
- 彼女の正義感は、時にサンチマンタリスムとして皮肉られることがある。
『羅生門』でなぜ使われたのか?
芥川龍之介の短編小説『羅生門』には、主人公である下人が老婆に同情しそうになった瞬間、「それはサンチマンタリスムにすぎなかった」と感情を否定する描写があります。
その場面の意味
下人は、死体の髪を抜いている老婆に怒りを感じ、剣を抜きます。しかし、老婆の弁明を聞いて一瞬心が揺れます。そこで彼は、自分の同情心を「サンチマンタリスム」と呼び、「それでは生きていけない」として感情を切り捨てるのです。
なぜフランス語を使ったのか?
- 文学的教養の表現: 芥川は西洋思想に精通しており、意図的にフランス語を使用。
- 冷たさ・客観性の演出: 外国語を使うことで感情から距離を取る冷徹さを演出。
- 同情=弱さの否定: 感傷を「甘え」として否定し、理性を優先する価値観を示す。
- 時代の崩壊を象徴: 倫理や道徳が崩れた時代における「生き残るための非情さ」を象徴。
まとめ:サンチマンタリスムとは?
項目 | 内容 |
---|---|
語源 | フランス語「sentimentalisme」 |
意味 | 感傷主義・感情優先の姿勢 |
使われる場面 | 文学・哲学・心理学など |
『羅生門』での使い方 | 感情の否定、理性の選択を強調するため |
なぜフランス語? | 文学的演出、皮肉、冷静さの強調 |
一言でまとめると?
サンチマンタリスムとは、同情や感傷に支配される心の動き。『羅生門』ではそれを冷たく否定するために用いられている。