総会屋とは?その意味を簡単に説明
総会屋とは、株式会社の株主総会において、企業から金銭や便宜を引き出すことを目的として発言や妨害を行う人や団体のことを指します。
本来、株主は会社の経営に関する意見を述べる権利を持っていますが、総会屋はその立場を悪用し、企業を脅すような行為で利益を得ようとするのが特徴です。
「総会屋」という言葉は、「株主総会」を舞台に活動することからつけられました。
かつては大企業を中心に、こうした存在が社会問題となった時期もあります。
総会屋の活動の仕組み
株を少量保有して“株主”としての立場を得る
総会屋は、まず対象企業の株を少量だけ購入して「株主」の資格を得ます。
株主になると、企業の株主総会に出席する権利が得られるため、これを利用して発言権を持つようになります。
企業に圧力をかける手口
総会屋は株主総会で企業の不祥事や経営問題を大きく取り上げることで、企業に恥をかかせると脅す場合があります。
そのうえで「黙っていてやるから」などと引き換えに金銭や契約を要求するケースもありました。
このような行為は恐喝や業務妨害などの犯罪に該当します。
企業側の“買収”体質
過去には、総会屋による妨害を避けるために、企業が“口止め料”として金銭を渡すこともありました。
こうした癒着構造が社会問題化し、後に法律で厳しく規制されるようになりました。
総会屋が社会問題となった背景
1970年代から1990年代にかけて、日本では多くの企業が総会屋に関与していたことが明るみに出ました。
当時は株主総会での混乱を避けるために、総会屋に金銭を支払うことが“慣例化”していた時期もあったのです。
しかし、バブル崩壊後に警察や検察が摘発を強化し、有名企業の幹部が逮捕される事件も起きました。
これにより、社会的に総会屋の存在が問題視され、企業のコンプライアンス意識が高まるきっかけとなりました。
現在の法的規制と企業の対策
商法改正と総会屋対策
1990年代以降、商法(現在の会社法)が改正され、総会屋に対して金銭などの利益を供与することが明確に禁止されました。
違反した場合、企業の役員も処罰の対象となります。
企業側のコンプライアンス強化
近年では、企業は株主対応を法令に基づいて適正に行う体制を整えています。
また、総会の透明性を高めるために、株主総会の様子をオンライン配信したり、事前に質問を受け付けるなどの工夫も増えています。
まとめ:総会屋は過去の遺物になりつつある
総会屋とは、株主の立場を悪用して企業に不当な要求を行う存在です。
かつては社会問題となりましたが、法改正や企業の意識改革により、現在ではほとんど見られなくなっています。
現代では、株主総会がより健全で透明な経営を促すための重要な場として再び注目されています。
