「キラキラネーム」という言葉は、ここ数年で一気に広まりました。
ニュースやSNSでもたびたび話題になりますが、具体的にどのような名前を指すのか、あらためて説明できる人は意外と少ないかもしれません。
この記事では、キラキラネームの意味や特徴、よく挙げられる実在例、そうした名前が増えた背景、そして名付けの際に考えたいポイントまで、分かりやすく解説していきます。
キラキラネームとは？
一般的な定義
「キラキラネーム」とは、読み方や漢字の使い方が一般的な感覚から大きく外れている名前を指す俗称です。
具体的には、次のような特徴があるものが多いです。
- 漢字から直感的に想像できない読み方をする
- アニメ・漫画・ゲームのキャラクター名をそのまま使っている
- 英単語や外国語の音を当て字で表現している
- 「当て字」や造語に近い読み方をさせている
正確な法律上の定義があるわけではなく、あくまで社会の中で使われている呼び方です。
他の呼び方：「DQNネーム」「個性的な名前」など
一時期は「DQN（ドキュン）ネーム」と呼ばれることもありましたが、この表現は人や名前を馬鹿にするニュアンスが強く、最近では避けられる傾向にあります。
一方で、「個性的な名前」「創作系の名前」といった、少しやわらかい表現で語られることも増えています。
キラキラネームの代表的な傾向と実在例
読み方が予想できないタイプ
漢字だけ見ると読み方がまったく分からない、というタイプです。
ニュースやネット上で話題になったものとして、例えば次のような例が挙げられます。
- 「光宙（ぴかちゅう）」
- 「黄熊（ぷう）」※クマのプーさんから
- 「心愛（ここあ）」
漢字自体は珍しくなくても、読みの付け方が通常の日本語の感覚から離れているのが特徴です。
アニメ・ゲーム・芸能人の影響が強いタイプ
人気作品のキャラクターや芸能人にちなんだ名前も、キラキラネームとして語られることが多いです。
- 海外アーティスト風の名前（ルキア、アリサなど）
- ファンタジー作品に出てきそうなカタカナ風の音を漢字に当てる
もちろん、すべてが「キラキラネーム＝悪い」というわけではありませんが、強く時代性が出るため、将来の印象が変わる可能性がある点は注意が必要です。
英語や外国語由来の当て字タイプ
英単語や外国語の音に近い読みを漢字で表現しているパターンもあります。
- 「愛（らぶ）」
- 「天使（えんじぇる）」
- 「月（るな）」※Lunaのイメージ
音のイメージは可愛らしいものの、初対面の人にはまず読めないという課題があります。
なぜキラキラネームが増えたのか？背景を解説
SNS・メディアの影響で「個性」が重視されるようになった
インターネットやSNSが普及したことで、他人と違うキャラクターや個性を打ち出したい、という価値観が強くなりました。
その流れの中で、「誰ともかぶらない名前にしたい」「印象に残る名前をつけたい」という思いから、独創的な名前が増えていったと言われています。
漢字の読み方の自由度が高い日本語の特徴
日本語は、同じ漢字でも複数の読み方を持つという特徴があります。
音読み・訓読みだけでなく、人名用の特別な読み、さらには当て字まで認められているため、
「この漢字をこんな読み方で…」と自由度の高い名付けがしやすい土壌があります。
名付けの情報源が多様化した
昔は、名付けの参考になる情報源といえば「親や親族の名前」「姓名判断の本」などが中心でした。
一方で現代は、
- ネットの名付けサイト・アプリ
- SNS上の体験談
- アニメ・漫画・ドラマ・ゲーム
など、参照できる情報が圧倒的に増えたことで、発想もより多様になりました。
キラキラネームのメリット・デメリット
メリット：覚えられやすく、話題になりやすい
キラキラネームの長所としてよく挙げられるのは、
一度で覚えてもらいやすいという点です。
- 名刺交換や自己紹介で印象に残る
- エピソードとして話が弾む
- 芸術・クリエイティブ系の仕事ではプラスになることも
人と違う名前であるからこそ、「自分らしさ」やブランドの一部として機能する場面もあります。
デメリット：読みづらさ・偏見・手続き上の不便さ
一方で、デメリットとしては次のような点が指摘されています。
- 初対面でほとんどの人に読んでもらえない
- 履歴書や進学・就職の場面で、偏見を持たれる可能性がある
- 電話や窓口、役所の手続きなどで毎回説明が必要になる
- 当人が大人になったとき、自分の名前を好きになれない場合もある
名前は一生付き合っていくものなので、「子どもが大人になったときの視点」で考えることが大切です。
名付けのときに考えたいポイント
① 「呼ばれる側」の気持ちを想像してみる
名前を考えるときは、親の好みだけでなく、
その名前で呼ばれる本人の人生をイメージしてみましょう。
- 学校で毎回読み間違えられないか
- 就職活動やビジネスシーンでどう見られるか
- 本人が大人になったとき、照れずに名乗れるか
「自分だったらこの名前、嬉しい？」と置き換えて考えるのもひとつの方法です。
② 読みやすさ・書きやすさをチェックする
個性的な名前であっても、最低限の読みやすさ・書きやすさがあれば、日常生活でのストレスはぐっと減ります。
- 初めて見る人でも、ある程度読みを想像できるか
- 複雑すぎる漢字を多用していないか
- フリガナなしでもなんとか読めるレベルか
一度、親族や友人に名前の候補を見せて、「どう読む？」と確認してみるのもおすすめです。
③ 将来の変化も見据えておく
流行のキャラクターや有名人にちなんだ名前は、
その時点では素敵でも、10年後・20年後にどう受け取られるかは分かりません。
名付けの最終判断をする前に、
「この名前は、自分の子どもが40代・50代になっても違和感なく名乗れるだろうか？」
という長い時間軸で考えてみると、バランスが取りやすくなります。
まとめ：キラキラネームは「親の想い」と「本人の生きやすさ」のバランスが大切
キラキラネームは、「悪い」「非常識」と一方的に決めつけられるものではありません。
そこには、我が子に特別な意味や願いを込めたいという親の想いがあることも多いです。
一方で、名前は一生付き合うものでもあり、
本人が社会の中でどう受け止められるかも無視できません。
「個性」と「読みやすさ」「将来の生きやすさ」、その両方を大切にしながら、
親子にとって納得のいく名前をじっくり考えていくことが、いちばんのポイントと言えるでしょう。
