近年、SNSや職場の会話で「スカブラ社員」という言葉を見かけることがあります。
明確な定義があるようで実は曖昧なこの言葉ですが、使われる場面には共通したニュアンスがあります。
本記事では、スカブラ社員の意味や由来、似た言葉との違いについて分かりやすく解説します。
スカブラ社員のルーツとは
「スカブラ社員」という言葉は、筑豊炭鉱で使われていた古い呼び名に由来すると言われています。
当時のスカブラは、過酷な環境で働く炭鉱労働者の心を軽くするために、独自の役割を担っていました。
スカブラが果たしていた役割
炭鉱で働く人々は肉体的にも精神的にも負荷の大きい作業に従事していました。その中でスカブラは、職場全体の雰囲気をやわらげる「場の潤滑油」として存在していたと言われています。
労働者の気持ちを軽くする存在
彼らは他愛もない話題やユーモアのある語りで周囲を笑わせ、緊張や疲れを一時的に忘れさせる役割を担っていました。
場を和ませるための語り手
作業の合間に面白い話を披露することで、仲間たちがリフレッシュできるように配慮していたとされています。
スカブラの語源・由来
「スカブラ」という言葉は、はっきりとした語源が決まっているわけではありません。しかし、以下のような説がよく語られています。
この呼称は筑豊地方の方言がもとになっていると考えられており、いくつかの説が語られています。
◆好かん+ブラブラの合成語説
「仕事が好かんでブラブラしちょる」という表現から転じたとする説があり、仕事に身が入らずふらふらしている様子を表したものとされています。
◆スカッとしてブラブラの語感から生まれた説
「スカッとしてブラブラしちょる」という言い回しが縮まり、スカブラになったという見方もあります。
いずれにしても、炭鉱の現場を明るくするための独特な役割と、地域に根差した言葉が組み合わさって生まれた表現だと考えられています。
◆「スカスカ」+「ブラブラ」説
スカスカ=中身が薄い、ブラブラ=働いているようで実際はあまり動かない、という二つを合わせた造語という説です。
◆「スカ」=空振り、「ブラ」=ぶら下がり説
成果が伴わず空振りが多い、組織にぶら下がっている——というイメージから作られた俗称だとする見方もあります。
スカブラ社員の別の意味とは
「スカブラ社員」とは、仕事に対して積極性が低く、成果や責任に向き合う姿勢が弱いとされる社員を指す俗称にも使われることがあります。明確な業界用語ではありませんが、一般的には次のような特徴を持つ人を指すことが多いと言われています。
自ら動かず受け身になりやすい
指示がなければ行動せず、主体的な行動が少ない社員を指すケースがあります。
成果や数字への意識が弱い
責任感が薄く、仕事の結果にこだわりがないと見られてしまうことがあります。
改善意識が低い
ミスをしても原因を振り返らず、学習や改善につながりにくいタイプを指すこともあります。
スカブラ社員と「ぶら下がり社員」の違い
似た言葉に「ぶら下がり社員」がありますが、ニュアンスが少し異なります。
◆ぶら下がり社員
周囲の努力によって成果が出ている状態に便乗し、自分自身では大きな成果を出さないタイプ。
◆スカブラ社員
主体性の弱さや意欲の低下など、行動面の消極姿勢を指す場面が多い言葉です。
どちらも否定的な意味合いはありますが、指している状態や評価の仕方に違いがあります。
スカブラ社員と言われないための対策
小さな行動から主体性を持つ
大きな成果を出す必要はなく、まずは自分からアクションを起こすことが大切です。
報連相を丁寧に行う
周囲の理解を得るためにも、こまめなコミュニケーションが信頼につながります。
改善ポイントを振り返る
何ができていないのかを客観的に振り返ることで、成長のきっかけが生まれます。
まとめ:スカブラ社員の重要性
「スカブラ社員」という言葉は、社内の雰囲気をより良くするムードメーカー的存在として使われる一方で、実務や業務への直接的な貢献度が低い社員といった意味で使われることもあります。
本来の由来は前者の意味合いが強いですが、使う状況や相手の語彙力、認知によって受け止め方が変わってしまう言葉ともいえます。
