フェミニズムで使われる「アライ」とは何か
フェミニズムの文脈で使われる「アライ(ally)」とは、当事者ではない立場から、差別や不平等の解消を支持し、行動によって連帯する人を指す言葉です。
英語の「ally(同盟者・味方)」が語源で、単なる賛成者ではなく、社会的な不平等を理解したうえで、改善に関わろうとする姿勢を意味します。
フェミニズムにおけるアライの位置づけ
フェミニズムでは、女性やジェンダー・マイノリティが直面している不平等や差別の問題が中心的なテーマとなります。
その中でアライとは、そうした差別を直接受けていない立場にいながらも、問題を自分ごととして捉え、支援や連帯を行う人のことを指します。
よく見られるアライの例
たとえば、女性差別の問題に向き合い、性別による不平等の是正を支持する男性は、フェミニズムにおけるアライとされることがあります。
また、シスジェンダーの人が、トランスジェンダーの権利や尊厳を尊重し、差別に反対する立場を取る場合も、アライと呼ばれます。
当事者とアライの違い
アライを理解するうえで重要なのが、「当事者」との違いです。
当事者とは、性別やジェンダーなどを理由に、差別や不利益を直接受けている立場の人を指します。
一方でアライは、そうした差別の対象ではないものの、その構造や影響を理解し、当事者の側に立って行動する存在です。
フェミニズムの中では、アライは当事者の代わりに語る存在ではなく、当事者の声を尊重し、後ろから支える立場であることが強調されます。
アライに求められる姿勢や考え方
フェミニズムにおいて、アライであるかどうかは、肩書きや自己申告ではなく、日々の態度や行動によって判断されると考えられています。
当事者の声を優先する姿勢
アライに求められる基本的な姿勢の一つが、当事者の話を遮らず、まずは耳を傾けることです。
自分の意見や正しさを前面に出すのではなく、当事者が何を感じ、何を問題としているのかを理解しようとする姿勢が重視されます。
無意識の偏りを自覚し続ける
誰もが無意識のうちに持っている偏見や先入観は、アンコンシャス・バイアスと呼ばれます。
アライであるためには、自分にもそうした偏りがある可能性を認識し、学び続ける姿勢が求められます。
指摘を受け入れ、修正する態度
善意であっても、結果として誰かを傷つけてしまうことはあります。
その際に、防衛的にならず、指摘を受け止め、必要であれば考え方や行動を修正することも、アライとして重要な姿勢とされています。
なぜ「アライ」という言葉が必要とされるのか
フェミニズムが扱う問題は、当事者だけが声を上げ続けるには大きな負担が伴います。
社会の中で多数派や権力を持つ立場にある人が、自分の立場を自覚したうえで、不平等を是正する側に回ることが不可欠とされています。
「アライ」という言葉は、そうした立場からの連帯を明確に示すために使われるようになりました。
アライという言葉が誤解されやすい理由
アライは、完璧な理解者や、常に正しい存在を意味する言葉ではありません。
また、アライを名乗ることで、自動的に正当性が保証されるわけでもありません。
フェミニズムの議論の中では、アライを自称しながら当事者の声を上書きしたり、議論の主導権を握ろうとする態度が問題視されることもあります。
まとめ:アライとは「立場」ではなく「関わり方」
フェミニズムにおけるアライとは、当事者ではない立場から、差別や不平等を理解し、当事者の声を尊重しながら連帯する人のことを指します。
重要なのは、どの立場にいるかよりも、どのように聞き、どのように関わり、どのような行動を積み重ねているかという点です。
アライという概念は、迷いや違和感を抱えながら学び続ける姿勢そのものを含んだ考え方だと言えるでしょう。
