ストーリーブックとは？
ストーリーブックとは、企業やブランドが自社の価値・背景・想い・目指す未来を、物語の流れで整理・共有するための資料のことです。単なる会社案内やサービス説明とは異なり、「なぜこの事業をしているのか」「どんな考えで価値を提供しているのか」といった文脈を重視して構成されます。
主に、社内外のステークホルダーに対して企業の軸や世界観を正しく伝える目的で活用される資料です。
ストーリーブックの意味と定義
企業向け資料におけるストーリーブックは、情報を並べるのではなく、ストーリーとして編み直すことを前提に作られます。ここでいう「ストーリー」とは、物語的な脚色ではなく、企業の歩みや意思決定の背景を一本の流れとして整理することを指します。
そのため、ストーリーブックは次のように定義できます。
企業の存在意義や価値観を、共感を生む構造で可視化した編集資料
なぜ企業にストーリーブックが必要なのか
① 企業の「らしさ」を言語化できる
企業活動の中で、「何をしている会社か」は説明できても、「どんな想いでやっているか」まで一貫して伝えられていないケースは少なくありません。ストーリーブックは、企業の判断基準や価値観を言葉として整理し、「らしさ」を明確にします。
② 社内外で認識のズレを防げる
経営層・社員・外部パートナーで企業理解に差があると、意思決定やコミュニケーションにズレが生じます。ストーリーブックがあることで、共通の前提となるストーリーを持つことができ、判断の基準が揃いやすくなります。
③ 共感をベースにしたブランディングにつながる
人は情報よりも「背景」や「想い」に共感します。ストーリーブックは、企業の考え方や歩みを物語として伝えることで、ブランドへの信頼や共感を育てる役割を果たします。
ストーリーブックと会社案内・ブランドブックの違い
ストーリーブックは、他の企業資料と混同されやすいですが、目的や役割が異なります。
会社案内との違い
会社案内は、会社概要や事業内容、実績などを網羅的にまとめた資料です。一方、ストーリーブックは「なぜその事業をしているのか」「どんな価値を届けたいのか」といった背景に焦点を当てます。
ブランドブックとの違い
ブランドブックは、ロゴやトーン、ビジュアルルールなどの表現指針を定める資料です。ストーリーブックは、その前段階として、ブランドの思想や物語の土台を言語化する役割を持ちます。
ストーリーブックに盛り込まれる主な内容
企業向けストーリーブックには、次のような要素が含まれることが一般的です。
企業の原点・背景
創業のきっかけや、事業を始めた理由、これまでの転機などを整理します。
大切にしている価値観
判断の基準となる考え方や、譲れないスタンスを明文化します。
提供している価値と社会との関係
自社の商品やサービスが、誰にどのような価値を届けているのかを物語として説明します。
これから目指す未来
中長期的にどのような存在でありたいのか、どんな社会をつくりたいのかを言語化します。
ストーリーブックはどんな場面で使われる？
ストーリーブックは、用途が限定された資料ではありません。さまざまな場面で活用されます。
社内共有・理念浸透
新入社員への共有や、組織づくりの土台として使われることがあります。
採用・ブランディング
企業の考え方に共感した人材と出会うための資料として活用されます。
外部パートナー・制作会社との認識共有
Web制作やデザイン、広報を外注する際、ストーリーブックがあることで方向性のズレを防げます。
まとめ：ストーリーブックは企業の「軸」を伝える資料
ストーリーブックとは、企業の想いや価値観、歩みをストーリーとして整理し、共通理解をつくるための資料です。数字や実績だけでは伝えきれない「なぜこの会社が存在するのか」を可視化することで、社内外との信頼関係を築く土台になります。
企業活動において「何をするか」だけでなく、「なぜそれをするのか」を大切にしたい場合、ストーリーブックは非常に有効なツールと言えるでしょう。
